Elements of Dust / ロシア・ヤクート発。極北の情景を描くポストロック

ロシア・サハ共和国(ヤクート)。極寒の地にありながら、多様な文化と独自の音楽シーンを育んできたこの地域から、Elements of Dustは生まれた。彼らの音楽はインストゥルメンタルのポストロックとアンビエントを基盤としながら、悲しみや怒り、静けさや希望といった感情の揺らぎを音に封じ込めている。旋律や歌詞に頼らず、音そのものの質感を通してリスナーの内面に働きかける点に、このバンドの本質がある。

Elements of Dustの楽曲は、まるで風景を描くように構築される。
ドラムとベースによって削り出された空間をギターによるアルペジオの残響が響き渡る。この具体的な言葉を持たないままに広がるイメージは言語や文化を超え、聴く者は自らの記憶や感情を重ね合わせ、ひとつの曲からそれぞれ異なる物語を見出すことになる。Elements of Dust は、音楽を「聴くもの」であると同時に「体験するもの」へと押し広げている。

2022年のデビュー作『Are You Sensitive to Dust?』を皮切りに、シングル『Exhale』(2024年)、公式MV『April Song』、ライヴ映像『Live Sakha Sire 2024』を発表し、活動を加速させてきた。ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスといった国々でツアーを行い、デニス・アレクセーエフ(Gazelle of Death)との共演を重ね、さらにモンゴルのPlaytime Festivalにも出演。国外ので活動だけでなく、2025年3月に故郷ヤクーツクで初の大型単独コンサートを開催し、ヤクートのシーンを代表するバンドに成長した。

Element of Dustのライブは、言うまでもなく音源以上の力を持つ。突如として訪れる轟音の奔流、そしてその直後に訪れる張りつめた静寂。その緊張と解放の交錯が観客の感覚を揺さぶり、会場そのものを変容させる。音は身体に振動として刻まれ、リスナーは気づけば自分自身の情景を心に浮かべている。Elements of Dust のライブは、一度限りの「生成の場」であり、その瞬間に立ち会うことこそが真の体験となる。

ヤクートという辺境から生まれた音楽が、なぜこれほど普遍的な力を持ちうるのか。それは彼らが、音楽を感情と風景を結びつける触媒として扱っているからにほかならない。北方の冷たい空気と、そこに生きる人々の熱情。その両方を孕んだ音は、聴く者を遠くへ運びながらも、同時に深く内面へと引き戻す。Elements of Dust は、世界のポストロックシーンに新たな息吹をもたらす存在である。

Elements of Dust

Michil Mekmyanov(ミチル・メクミャノフ) / Lead Guitar
Bergen Krivoshapkin(ベルゲン・クリヴォシャプキン) / Bass
Artur Bagarisov(アーサー・バガリソフ) / Drums
Elchim Egorov(エルチム・エゴロフ) / Rhythm Guitar

Concert Schedule

9/26 (Thu) Makeshift 神戸

Address: 兵庫県神戸市中央区割塚通7-1-183



Start 19:00

Charge 2,000

Act:
Act:
Yann Joussein
Flagio+Hiroki Watanabe
Elements Of Dust