スイスを拠点とする実験ジャズ・トリオ LEIB（ケヴィン・ゾマー〈クラリネット〉、シリル・フェラーリ〈ギター〉、ルーカス・ブリナー〈ドラム〉）。クラリネット、ギター、ドラムという編成から生み出されるのは、楽器にまつわる既成概念を解体し、旋律やリズムを超えた音そのものの現象である。ノイズのざらつき、幽かな響き、衝突と沈黙が交錯し、空間を彫刻のように刻んでいく。

LEIBが挑む表現は、緊張と解放のあいだを往復する儀式のような体験である。突発的な咆哮と微細な粒子音との対比は、聴き手の感覚を根底から揺さぶる。音は都市の気配を抱き込みながら拡散し、空間そのものを変容させる。LEIBのライブとは、ただ「聴く」だけではなく、身体と場所が音と共振する生成の場である。

デビュー・アルバム『Mother Hologram / Sister Anagram』は、アルゼンチンの前衛レーベルNeue Numeralからリリースされた。前半「Sister Anagram」では、ドローンの「Chanson Sinus」、点描的ノイズの「Punkt」、原始的グルーヴの「Force Mécanique」といった、多彩な音響断片が連なって語りかける。後半「Mother Hologram」は約20分にわたる完全即興パート。機械的な緊張と、幽かな小鳥のさえずりのような響きとの揺らぎの間で、未踏の音空間を切り拓く演奏である。

最新作『Mother Hologram / Sister Anagram』で提示された異形の音響は、関西の都市空間で新たに再構成される。再現不可能な瞬間の連鎖が、観客の前に立ち上がるだろう。

LEIB （ライプ）

Kevin Sommer（ケヴィン・ゾマー） / Clarinet
Cyril Ferrari（シリル・フェラーリ） / Guitar
Lukas Briner（ルーカス・ブリナー） / Drums

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